膝痛・変形性膝関節症の鍼灸

症例

■膝の腫れと痛み:80代女性 3年前より右膝の腫れと痛みがでてくる。左膝は8年前に人工関節の手術をした。最近右坐骨神経痛がおこり歩行が困難になってくる。~右膝をみると炎症が強く赤く腫れあがっている。左に続き右膝に負担がかかって発症したものである。炎症をとり右半身の緊張をとる鍼を週に2回継続され、3ヶ月で終了としました。

■右膝の腫れ痛み:60代男性 3ヶ月前より急に腫れて痛み歩行が辛い。体重増加と膝への負荷が増えて発症したもので、炎症傾向を改善するため背部への鍼を週2回継続した。1ヶ月半程施術しました。

■膝の激しい痛み:60代男性 3ヶ月前より左膝内側が痛むようになり、次第に痛みがつよくなる。歩行するのも杖がないと困難。整形外科にて変形性関節症といわれるがあまり変化がなく、来院される。左膝の局所は腫脹して熱感がつよい。脈が炎症をしめすつよい脈で、舌も正常よりも赤みがつよく、炎症傾向がつよいことが示されていた。足の爪の際に太い鍼を2ミリほどごく浅く刺す鍼をおこなった。7回ほどで終了としました。

■右膝変形性関節症で炎症がつよい症例:50代女性 右膝が痛んで腫れてくる。変形性関節症といわれる。色々と各種療法をするが一進一退の状態が継続する。立ち座り、歩行時に痛む。膝の状態をみると腫脹して熱感がつよく3度ほど左よりも皮膚温が高かった。鍼灸では「熱痺」と考え、炎症を取りながら足腰の弱りをとる鍼を行う。週に2回を継続し20回ほど施術されました。

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※記載の西宮・橋本鍼灸院の症例は、当院の鍼灸を受療されて同じような経過をたどることを保証するものではありません。症状・病気の程度、生活習慣や体質の違いで効果は異なることがあります。施術を受けられる際の参考としてご覧ください。

膝痛の東洋医学に基ずく鍼灸施術

東洋医学に基づく膝痛の鍼灸施術と橋本鍼灸院の施術について、解説します。

1. 東洋医学における膝痛の捉え方
東洋医学では、膝痛は単なる局所の問題として捉えるのではなく、体全体のバランスの乱れ、特に「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の流れの滞りや、内臓の機能低下が原因で起こると考えます。

主な病因(原因):
◎ 気滞血瘀(きたいけつお): 膝周りの気の巡りや血の巡りが悪くなり、痛みが生じる状態。痛みは刺すような鋭い痛みで、夜間に悪化することが多いとされます。

◎ 風邪湿邪(ふうじゃしつじゃ): 外部からの「風(かぜ)」や「湿(しつ)」といった邪気(病気の原因となるもの)が体に侵入し、膝の関節に留まることで起こる痛み。風邪(ふうじゃ)の場合は痛みが移動しやすく、湿邪(しつじゃ)の場合は重だるく、腫れを伴うことが多いとされます。

◎ 肝腎の虚弱(かんじんのきょじゃく): 東洋医学では、肝臓は「筋(すじ)」を、腎臓は「骨」や「精(せい)」を司ると考えられています。加齢や過労などにより、肝や腎の機能が低下すると、筋や骨が弱くなり、膝痛を引き起こしやすくなります。

2. 鍼灸施術のメカニズム
東洋医学では、体の表面にある「経絡(けいらく)」や「経穴(けいけつ)」(いわゆるツボ)を刺激することで、気の流れや血の巡りを整え、自然治癒力を高めます。

膝痛に対する鍼灸施術のポイント:

◎ 局所へのアプローチ: 膝の周りにあるツボ(例:鶴頂、膝眼、陰陵泉、陽陵泉など)に鍼を打ち、滞った気の流れや血流を改善し、炎症や痛みを鎮めます。
【橋本鍼灸院では、膝周辺への鍼刺入は炎症などあるために過敏な状態なのでしません。鍉鍼などの刺さない・接触ハリでアプローチすることはあります。】

◎ 遠隔のツボへのアプローチ: 膝から離れた場所にあるツボも使用します。これは、経絡が全身につながっているという東洋医学の考え方に基づいています。例えば、肝腎の虚弱が原因の場合、下腿や足にある肝や腎の経絡上のツボ(例:太谿、行間、衝陽穴など)に鍼を打ち、根本的な原因に働きかけます。

◎ 灸(きゅう)の併用: 膝の痛みや冷えが強い場合、お灸を併用することがあります。熱を加えることで血行を促進し、痛みを和らげ、冷えを取り除きます。

3. 実際の施術の流れ(一例)

◎ 問診・診察: まず、東洋医学独自の「四診(ししん)」(望診、聞診、問診、切診)を行います。膝の痛みだけでなく、体の他の不調(冷え、胃腸の状態、睡眠、舌の状態など)も詳しく伺い、病因(根本原因)を特定します。

◎ 鍼灸施術: 特定された病因に基づき、一人ひとりの体質や症状に合わせたツボを選び、鍼や灸で刺激します。

◎ 生活指導: 施術と合わせて、日常生活での注意点や、自分でできるツボ押し、ストレッチ、食事のアドバイスなどを行います。

4. 鍼灸施術のメリット

◎ 自然治癒力の向上: 薬に頼らず、体が本来持っている治癒力を引き出すことを目指します。

◎ 副作用が少ない: 適切に行われれば、副作用の心配はほとんどありません。

◎ 根本原因へのアプローチ: 痛みの原因を全身のバランスから捉えるため、痛みの再発を防ぐ効果も期待できます。

◎ 効果には個人差があります。また、変形性膝関節症のように構造的な問題が進行している場合は、鍼灸だけで完治を目指すのは難しい場合もあります。他の治療法と併用することで、症状の緩和や進行の抑制が期待できます。
東洋医学に基づく鍼灸施術は、膝痛の症状を和らげるだけでなく、体質そのものを改善し、健康な状態に導くことを目的としています。

◎橋本鍼灸院では、上記の内容を踏まえ、各人ごとに最適なツボを厳選して施術していきます。

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